LIFE #005

どのような仕組みや手法でも欠陥や課題は存在します。
PDCAにおいても次のような問題点があることを知っておくと便利です。

  1. 単純化されたモデル: PDCA自体は単純なサイクルですが、実際の問題やプロセスは複雑であり、単純なPDCAサイクルだけでは十分な解決や改善が得られない場合があります。
  2. 不十分なデータ収集と分析: PDCAの成功には適切なデータ収集と分析が必要ですが、データ不足や曖昧な評価基準、それに分析方法の不徹底などからの結果が問題となることがあります。
  3. 改善の停滞: PDCAサイクルは継続的改善を促進するはずですが、計画や実行段階での課題や障害によってその改善サイクルそのものが停滞することがあります。
  4. 文化や組織の抵抗: PDCAを組織や文化に導入し、普及浸透することは必ずしも容易ではなく、時に変化への抵抗や意欲の欠如が障害となることがあります。
  5. 短期的な視点: PDCAは短期的な改善を重視していますが、長期的な視点や持続可能性を考慮しなければ、一時的な改善に留まる可能性があります。

 これらの欠陥や課題を克服するためには、PDCAの適用に際して適切なリーダーシップ、文化の変革、データドリブンなアプローチなどが重要となります。

 但し、こんなことにビクつくことはありません。
これらPDCAの欠陥はビジネスにおける組織運営上で噴出する問題であり、この「百歳人生」で使う場合はそれほど厳密ではなく、また気にすべきことではありません。

 百歳人生では大失敗は確かに困りますが、細かな失敗、小さな失敗は恐れません。
日常茶飯事的な試行錯誤から出てくる失敗は失敗ではないのです。

 試行錯誤の過程における成功のための試金石、一里塚と考えます。
でも欠陥が存在するゆえの仕組みの限界性を認識しておいた方が良いこともあります。

 いずれにせよこのPDCAは意識的に取り組むのではなく、なかば念仏的に「ピーディーシーエー、ピーディーシーエー」とブツブツ呟くぐらいに無意識な感じで使うほうが効果はあります。

ところでこんなことはありませんか?

 朝起きて、ふと「今日は何するんだっけ?」と思うことはよくありますよね。
これはPDCAの《CHECK》に当たります。
次にこう考えるでしょう。「そうだ、〇〇するんだ。その後で……。」
これは《PLAN》の始まりで、それからその内容を吟味し、そうするよう自分にフィードバックしますね。

それからは実際にその計画を含めた日常生活が始まります。
これはPDCAの《DO》になります。そしてお昼になりました。
「えーと、〇〇の出来具合はどうかな?」と中間の小さな《CHECK》をし、朝確認した計画の進捗状況から必要な活動の修正をするでしょう。
これが中間の《
ACT》にあたります。

 午後も予定をこなして夕方になり、そして夕食時に今日一日を振り返ります。
これがPDCAの大きな《CHECK》であり、「あれはこうしよう、明日はこれをこうすれば今日より良くなるな」などと今日一日の締めくくりの《ACT》を行い、明日の《PLAN》を立てます。

 皆さん、これに似たようなことを毎日行っていませんか?
その時、いちいち
PDCAがどうの、こうの、とは考えていないはずです。
 また小さな作業や行動の中にも必ずマイクロPDCAが働いています。
このPDCAをもう一度、百歳人生行路でも生かそうと言うことです。

 この図も思い出してください。

 この図で2つの円が回っていますね。
一つは1Sから4S、その隣にPDCAのサイクルですね。
「進取」が外に出ていますが、人生全体から観れば、これも5Sとしてサイクルの大事な一要素です。
この2つの円が回ることは既に述べてきましたが、この二つは常に同期していることが重要なのです。

 「整理」の作業にPDCAが存在し、また《PLAN》の中にも「整理・整頓」があり、さらにPDCA全体は「習慣」として存在します。
当然ながら他の要素同士も何かしらの同期・同調がされています。

 時折り、自分の作業の中にこれらのどれかを意識することでその作業自体の質が向上することがあります。

 同期同調して人生のLIFEとWORKを支え、前に進める5SとPDCAは例えて言えば、車の両輪です。
そんなイメージを持ってください。

 ところでこの両輪の中でポイントとなるのは、PDCAの《CHECK》です。
私たちは何かをする時、している時、さらには終えた時、必ず何らかの確認をしていると思いませんか?

そうです。いろいろとチェックを知らず知らずしているのです。

 あたりを見回し、手許を見つめ、宙を仰いで、はたまた目を閉じて、見たり感じたり思ったり、と必ずチェック=確認をしています。
それから次のアクションに移っていきます。
これって実は面白い行動だと思いませんか。

 出来るだけこの《CHECK》、つまり“C”を鍛えましょう。
このチェックには「5W2H」と言う原則フレームを使うと一層便利です。

 使うと言っても、人は自然とここにあるどれかの疑問がその際の確認ポイントとして浮かんでくるはずです。
これも今までよりは少しばかり意識し、一つではなく幾つかのWとHを用いれば、漏れや忘れも防ぐことができ、またリスクを速やかに見つけ出して次の安心・安全・安寧を得ることができるでしょう。

 5SとPDCAを生活や仕事の張りとして使いこなすことで、これからのさまざまな挑戦がムダ・ムリ・ムラなく実現していくにちがいありません。

 今回は5SとPDCAの二つのサイクルについてのお話でした。

 この2サイクルは、個人の生活や仕事を改善し効率化するための枠組みです。5S(整理、整頓、清潔、習慣、進取)はこれからの日常における活動の基盤として実践され、生活の質を向上させることで百歳人生を豊かなものにします。
4Sは日常生活における「心の張り」と「やる気」を維持するために重要です。

 PDCA(計画、実施、評価、行動)は、エドワーズ・デミング氏によって提唱され、品質管理やプロセス改善に広く用いられています。
このサイクルは、小規模活動から大規模プロジェクトに至るまで応用され、また個人の自己成長や目標達成にも適用することができます。
PDCAには欠陥もありますが、百歳人生では気になるものではありません。

 日常生活でのPDCAは、無意識に使われており、それゆえ失敗を気にすることなくそこから学び、自己成長を促進させることが肝要です。
もともと5SとPDCAは同期同調しており、その組み合わせは生活や仕事の質を高める二輪車のように機能します。

 また5W2Hの原則を用いて常に《CHECK》である確認作業をPDCAの随所に取り入れば、より内容の濃い活動が可能になります。

 百歳人生への挑戦には5SとPDCAを生活や仕事の張りとして使いこなすことが大事です。

 次回からは「百歳人生の心得帳」として、生活と仕事の両面で挑む気構え・心構えを幾つか述べていきます。
面倒かもしれませんが、忘れていたことや気づかなかったことなどが再確認できるかもしれません。

By 百瀬 代次郎

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