LIFE #007
目 次
2-3. されど孤独死は避ける
今、社会問題化しつつあるのが「孤独死」です。
内閣府の調査によると、孤独死の件数は年々増加傾向にあります。
特に高齢者の単身世帯での孤独死が多く報告されており、2021年のデータでは孤独死の約65%が男性であり、特に65歳以上の男性に多いことがわかっています。
上図は東京23区内での65歳以上で一人暮らしの方が自宅で亡くなられた2019年までの11年間における推移です。
日本全国では年間3万人を超えているかもしれません。
と言うのも2011年発表のニッセイ基礎研究所による資料では、孤独死が全国で年間で2万6821人にのぼったということからの推測です。
増加していく孤独死の原因としては、地域社会からの孤立や高齢者の貧困、熟年離婚などが挙げられます。
また、男性は女性よりも社会的なつながりが少なく、助けを求めることが難しい傾向があるため、孤独死のリスクが高いとされています。
孤独死の詳細を述べるのがこの稿の目的ではありませんが、現実的には大きな問題であることをご理解していただけたと思います。
確かに「死」は必ず誰にでも一度は訪れます。その時の死にざまが実は大事なのです。
家族に看取られて亡くなるのが、その後の始末で周囲に迷惑を少しでも掛けない道でしょう。
ここで言う『周囲に迷惑を掛けない』とは遺産相続問題などを指すのではなく、
孤独死による死体腐乱や遺品整理、埋葬一切など生前の住まいや隣近所へのとんでもない迷惑を指します。
身寄りのない、天涯孤独の境遇であっても、自分の始末はやはり生前にきちっとどうするか段取りを決めて日頃から準備しておくべきです。
ここに5S+PDCAが大事な機動力になるのですが、それはさておき、「孤独を恐れるな」には最小限のライフラインを確保することが前提です。
誰かがあなたを見守っている状態を必ずキープしましょう。だから前2-1項で述べた「人に優しくなる5アクション」が大事なのです。
巷では「自助・共助・公助」が福祉の原則とされますが、『共助』があなたからの優しい働き掛けで成り立ちます。
「人に優しくなる」ことで、程よい距離の絆を他者と保ち、ささやかでも互助互恵の関係が生まれます。
なにしろ孤独は楽しんでも孤独死を選ばないことが百歳人生の鉄則です。
3.十箇条:その二「己れを信じる、ひたすら信じる」
「信じる」とは、自分が何かを事実として受け入れることであり、人や何かを信頼して疑わないことを指します。
信じることは、人々が強いつながりを持ち、互いの絆を強くする上で非常に重要な要素となります。
「神を信じる」などは最も象徴的な姿でしょう。
その「信じる」の中で『自己信頼』は百歳人生にとっては貴重なエネルギー源となります。
自分自身の能力や判断を信じることそのものがきわめてポジティブでなければかなうものではありません。
但しうぬぼれとは異なります。
選択の過ちや能力の過大評価で夢が挫折したり、計画がとん挫することは誰もが経験済みの失敗談です。
でも考えてみれば、他に頼るものってそうそうあるものではありません。
頼ったところで最終的な解決にはなりません。もちろん気持ち的に楽になることはあります。
暗闇に一灯の希望の光になることもあります。
しかし結局、どうのこうの言っても最後は自分の身のことであり、責任です。
諦める、やめる、逃げる、避ける、など当初の路線を変える方法の何かを選んだとしても自分を信じて行くべき方向を進むしかありません。
であるなら、徹底的に自分を信じましょう。弱音を吐きながらでもひたすら日々、歩む自分に惚れこみながら進みましょう。
信じられないから否定が生まれるのです。
自己否定の道を選んではいけません。
自己否定は自分というかけがえのない存在自体を消滅させかねません。
ひたすら愚直に己れを信じれば、余計な雑念は消えていきます。
生きることへの執着かもしれませんが、自らを切り捨てる愚行と比べれば人生を崇高に生きていくことになるはずです。
4.十箇条:その三「頑張らない 無理しない 命が第一」
どうも日本人は勤勉な民族性のためか、歴史性なのか、中高年層の方々たちは頑張り屋さんが多いように感じます。
特に「団塊世代」、あるいは「働きバチ症候群」と呼ばれた高齢者の方々には、
戦後の何もかもが未整備な状態の中で生まれ、高度成長期・バブル経済下・バブル崩壊後の
どん底の30年と言った浮き沈みの大きい時代を乗り越えてきた驚くべきドラマが秘められています。
なにしろ皆さん、頑張り屋さんでした。
今も現役バリバリで経営に邁進されている方も昔から飽くことなく頑張っておられます。
そのような今でも仕事一点張りの方々はそのまま頑張ればよろしい。
そのスピードを落とすことなく頑張って頑張って、あるところで「この人生、???」と気づくまで走り続けましょう。
でもここで百歳人生を選ぶのなら、精神的に豊かな暮らしに適度な仕事を組み込むのがベストですから、永続的に「頑張る」ことをどこかにしまい込む必要があります。
しかしながら全く頑張りを捨てたら非常時、緊急事態などに対応できる精神力が萎えてしまい、悲惨な人生に切り替わってしまいます。
己れの気力・体力など秘めたパワーの出力を見極め、百歳人生の歩みを進めていきましょう。
エンジン車の運転で言えば「3速」の状態で一般路走行をする感じ。
なにしろ日頃から「頑張らない」精神状態をキープし、何かあっても「無理しない」でその障害を乗り越える、取り除く、無視する、など気持ちと脳細胞を緊張状態にしないことが肝要です。
そして命を守りましょう。
命はたった一つの財産です。代わりはありません。誰も替わってはくれません。それだけ尊いのです。
その大事な命を左右する事柄には、健康・事故・事件・災害など結構身の回りに潜んでいます。
それらのリスク管理を含め、我が身を守ることも百歳人生での大切な仕事になります。
いいですね?『命あっての物種』と昔から言われます。
「命が第一」を心がけて、日々無病息災に感謝しつつ、ゆったり緩やかに過ごしましょう。
まとめ
百歳人生を送るには毎日気軽な気持ちで過ごすのが一番ですが、人間の弱みでいつしか自堕落な自分に負けてしまうことが往々にしてあります。
特に独り身の場合や加齢で体が自由に動かなくなってきた場合、はたまた一向に片付かない悩みを抱えている場合など、人それぞれの直面する壁や障害でふと投げやりな気持ちになってしまいます。
いったんリズムやルーチンが狂うとなかなかそれまでの正常域に戻らず、そのまま百歳人生の気概も徐々に消え失せていくでしょう。
それらを予防するために自分を丸裸にできるような心得があれば、時に触れてそれを思い起こすことで再び軌道を正常に戻すことができるでしょう。
肩肘張らず、自分が求める自然体な生活こそが百歳人生の極意です。
今回は十ヶ条のうち、三ヶ条を解説しました。次回は四、五、六の3つの心得を解説します。
自身の思考の遺伝子、染色体に刻み込んでいきましょう。
次回「Life #8」は「百歳を生き抜く心得帳 第二回」です。
了
By 百瀬 代次郎