古代哲学とISOの出会い

「因果応報」・「輪廻転生」でマネジメントを導こう ISOMS #019
本ブログでは、ISOMSに秘められた世界観が、
悠久の昔に芽生えた原理と結びついていると言う稀有壮大なお話について解説します。
目 次
はじめに
「因果応報」と「輪廻転生」。
これらは一見、仏教や宗教的世界観の範疇に属すると思われがちですが、その根幹は“原因と結果”の法則と“改善再生行動”の原理であり、時代や文化を超えた普遍的真理なのです。

そしてその真理は、現代のマネジメントシステム、特にISOの中核思想である「プロセス・アプローチ」と「PDCAサイクル」と深く共鳴しているのです。
つまり──
ISOとは、古代哲学のマネジメント的進化形と言えるかもしれません。
本稿では、この荒唐無稽?な視点から、ISO・MSを再解釈してみましょう。
1. 「因果応報」こそプロセス・アプローチの源流的概念
ISOマネジメントシステムの基盤となるのが「プロセス・アプローチ」です。
これは、組織の活動を相互に関連する一連のプロセスとして捉え、
それぞれのプロセスには明確なインプット(原因)とアウトプット(結果)が存在するという考え方です。

これはまさに、「善き種は善き果を結び、悪しき種は悪果を生む」という因果応報の法則そのものです。
古代インド哲学やギリシャ哲学では「因果律」は宇宙の根本法則とされ、そこに人間の倫理や選択の責任が帰属しました。
現代においてはこの原理が、品質、環境、安全などの分野で“予防”と“是正”の思考として昇華されています。
▷ ISOにおける因果応報
- 良いインプット → 適正なプロセス → 良い成果(顧客満足、信頼)
- 不適切な手順 → 欠陥品・事故 → 損失・信用毀損
ISOMSは、結果から原因を探り、再発防止の手だて(是正処置)を講じよ、と求めます。
同時に、将来起こりうる悪果に対し、未然に原因を断つ(予防処置)ことも要請しています。
この思想は、まさしく「悪しき因を断つことで悪果を避ける」「善因を育てて善果を得る」
ーこれは、宗教ではなく、論理としての因果応報に立脚しているのです。
2. 「輪廻転生」とは、PDCAである
もう一つの柱が、継続的改善を実現するPDCAサイクル。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返し、組織活動をらせん状に高めていく運動です。
これは、古代インド思想の中心にある「輪廻転生」―すなわち
「生まれては死に、死んではまた生まれ変わる」プロセスに極めて近いものです。
ただし、同じところをぐるぐる回るのではありません。
前世の行為(カルマ)によって、次の生が良くも悪くも変化するという思想は、PDCAの本質と酷似しています。
▷ PDCAという「改善再生行動」
- Checkで反省し、Actで学びを行動に昇華させる
- 次のPlanに前回の経験が活かされる
こうして私たちは、「同じ失敗を繰り返さず、前より良いプロセスへ進化する」ことを目指すのです.。

この発想は、組織の仕組みにも深く組み込まれています。
内部監査・マネジメントレビューといった一連の仕掛けは、まさに「内省と改善による転生」の装置なのです。
3. ISOMSは古代哲学のマネジメント的再来である
もちろんISOMSの規格書に「仏教」や「哲学」の文字は出てきません。
ですが、そこに脈々と流れる原理は、「古代の智慧の継承」だと言っても過言ではありません。
善因善果・悪因悪果という構造化思考、失敗を糧とする改善再生の循環
――これらは、すべてISOMSの構築・運用・見直しの根底にあります。

ISOMSを「仕組み化」や「効率化」の手段にとどめるのではなく、
「組織の魂に哲学を流し込む装置」として再解釈することで、社員一人ひとりの判断軸・行動基準・納得感が大きく変わってくるのです。
4. 古代哲学の視座で組織文化は変わる
ISOMSを導入しても「形骸化してしまう」「浸透しない」と嘆く声は少なくありません。
それは、マネジメントシステムの背後にある原理原則への共感が不足しているからです。
ここで、「因果応報」や「輪廻転生」といった、 私たちに馴染み深い古代の概念を導入してみてはいかがでしょう?
- 「プロセス・アプローチ」は「因果応報」の現代版
- 「PDCAサイクル」は「輪廻転生」の合理的表現
このように置き換えて語ることで、単なる手順やルールだったISOMSが、
人としての誠実な営みに昇華されます。

結果として、
- 判断基準がぶれない
- 失敗から学ぶ力が増す
- 現場に主体性と納得が生まれる
こうしたメリットが、実務において確実に現れるでしょう。
まとめ:「古きを訪ね、新しきを築け」
ISOMSは単なる国際認証制度ではありません。
それは、古代からの「普遍的な問い」と「叡智の回路」を、
現代の組織マネジメントに翻訳しなおした実践技法なのです。
「良き種を蒔けば、良き果が得られる」
「失敗しても、そこから再生できる」
この二つの原理にこそ、私たちの業務・組織・人生の本質が凝縮されています。
次の改訂(2026年)を前に、ぜひ一度、自らのマネジメントシステムに問い直してみてください。
あなたのISOMSは、「哲学」として機能しているか?
ただの“書類作成装置”になってはいないか?
古代の智慧は、今も生きてあなたの判断を導いています。

あなたの智恵の種が、次なる果実を生み出す決め手となるのです。
了
By イソ丸研究所