ISOMS #007
目 次
2. プロセスアプローチをもっと使おう!
2-1. 使い道は無限大!?
多くのISO認証取得組織では、意識するかしないかは別としてプロセスアプローチを自社のマネジメントシステムに取り込んでいると思います。
またISO内部監査においても外部審査機関同様にプロセスアプローチ監査を実施している組織もあるでしょう。
その意味では、既にプロセスアプローチが身近なものであると言えます。
それでは特別にプロセスアプローチの使い道は無いのでしょうか?
いえいえ、いろいろとありますよ。探せば無限大∞!
例えば……、
- 業務環境の変化で、従来の手順が陳腐化してきており、効率面で疑問がある
- 発生問題の解決後にその問題プロセス全体を再評価したい
こんなこと、ありませんか?
そう分かっていても意外と面倒がって手を付けずにいることが多いはずです。
ましてや多忙な日々では、発生リスクを感じながらも予防活動に手を出しません。
そのような場合は、プロセスオーナーを中心にプロセスレビューを行うべきです。
プロセスオーナーと言っても必ずしも上司や上役ではありません。
該当する工程の管理責任者、と言ったところでしょうか。
問題や課題が内在するプロセス、作業などをよ~く熟知した方々です。
だからオーナーなんです。
2-2. プロセスレビューのしかた
簡単な方法は次の通りです。
(1) 現状の問題プロセス及び関連プロセスの洗出し
既にプロセスアプローチが浸透していれば、多少の知識と問題意識があればできます。
解決も早いことでしょう。
早速やってみましょう!
問題が発生した、または今にも発生しそうなブロックプロセスと関連プロセスを対象に、ある程度細かく単位プロセス群を洗い出します。
抽出した単位プロセスごとにタートルチャートを作成し可視化します。
タートルチャートですから亀の手足部分の主要な要素もしっかり緻密に押さえます。
また関連プロセスとして他セクションなどから流入するサポートプロセス、インプット/アウトプット前後のプロセスの情報も収集します。
さらに組織全体のプロセスを対象とすれば「プロセスマッピング」として、各プロセスの関係性をより俯瞰的に可視化することが可能となります。
いずれにしてもこれらには種々のパフォーマンスデータが欠かせません。
(2) ここでタートルチャート制作
単位プロセスごとにタートルチャートを作成し可視化します。
タートルチャートですから亀の手足部分の主要な要素もしっかり緻密に押さえます。
また関連プロセスとして他セクションなどから流入するサポートプロセス、インプット/アウトプット前後のプロセスの情報も収集します。
さらに組織全体のプロセスを対象とすれば「プロセスマッピング」として、各プロセスの関係性をより俯瞰的に可視化することが可能となります。
いずれにしてもこれらには種々のパフォーマンスデータが欠かせません。
(3) タートルチャートを中心に検討分析
各パフォーマンスデータなどから問題発生地点を特定します。
例えばプロセス上のある地点や要素がボトルネックとして見つかるかもしれません。
あるいは単位プロセスそのものが機能していないこともありえるでしょう。
次に大事なことはその原因の究明です。
原因究明法は組織が定めている方法を適用させても構いませんが、根本的な原因まで遡及できなければ真の解決とはなりません。
また原因究明をせずに打開策を皆で練っても無意味です。
(4) 改善活動の実施
確実な原因究明によりその原因が分かったのなら、その除去をします。
これがいわゆる「是正処置」であり、「再発防止策」なるものです。
原因除去で講じた対策が解決への道となることもありますが、一般的には改めて条件や環境の整備が必要になるはずです。
例えば手順書の改訂と関係者への手順変更周知も必要となるでしょう。
プロセスをめぐる主要な要素の内容が変わったり、別のプロセスを増設したり、あるいはプロセスそれ自体を簡略化として抹消することでシンプル化を図ることもあり得ます。
ここで大事なことは、以前よりプロセスを不用意に複雑化・肥大化させないことです。
プロセスの集合体であるシステムの負荷も考慮しましょう。
(5) 効果の確認
改善して終わり!と思ったら大間違いです。
トライアルランをしばらく実施し、問題の再発が無いかをチェックします。
あるいは作業効率がアップしたか、品質面の向上があったか、など効果のデータを再収集し、検証します。
もしも期待する成果が出ていなければ前段階に戻りましょう。
前③項から、いや①項からの見直しかもしれません。
徹底的にやりつつ、ここでの感覚を体と脳に沁み込ませましょう。
次に何か生じても既に解決手法が脳内で手順化されて万事スムースに進行するはずです。
まとめ
ISO 9001QMSでは重要な位置にある「プロセスアプローチ」ですが、我が国では『工程管理』の考え方がしっかりと根付いているためか、あまりその言葉自体が日常的に飛び交うことはまれのようです。
生産や施工におけるいろいろなプロセスの重要性はその関係者全員が認識しているはずなのですが、最近ではトヨタ自動車他の認証試験不正ニュースなどでも分かるとおり、試験工程そのものが悪魔の温床になってしまっています。
当事者の中には「国の試験より厳しくしている」と弁明していますが、それならばそれなりの方法で国の定めた法規の改正などを求めて、真の品質向上に努めるべきだとも言えます。
まさにプロセス崩壊と言わざるを得ません。
その意味で単にプロセスをトレースするだけでなく、タートルチャートが示すプロセスを支える様々な主要な要素、特にプロセスオーナーと人的資源における人間の精神性が問われることになります。
そこにさまざまなリスクが潜んでいることを本来は関係者全員が危機意識として共有していなくてはならのです。
だからこそ「リスクベースの考え方」がプロセスアプローチに備わっているわけです。
ITやロボット、AIが活躍してもその基は人間の知性と理性と、そして愛です。
「愛って何よ?」と言うなかれ、顧客満足は誰への愛?か、自明の理ですね。
何はともあれ、タートルチャートを意識することで自然とプロセスアプローチが身についていきます。
そして日頃からいろいろな身近な活動をPDCAの時系列的プロセスに分解しながら今必要なことをタートルチャートで考える癖をつけましょう。
あっ!その時にいろいろなリスクと機会も合わせてイメージすれば万全ですね。
(了)
By イソ丸研究所