Health #001
陥入爪の恐怖
目 次
1. 靴下に穴が…!
皆さんにはこんなことがありませんか?
ある日、ぽっかりと靴下に穴がいつのまにやら空いているとか。
家を出る時は確かにこんな穴は靴下に空いてはいなかった。
それも新品に近い靴下で、色もガラも気に入っていたのに…。
足の形は普通のはずと爪先を観察すると、爪自体が多少「巻き爪」になって、両端が指に食い込んでいました。
このような状態の爪を『陥入爪(かんにゅうそう)』と医学的に呼ばれています。
それゆえその部分が爪切りではなかなかカットしにくく、毎回一苦労しますね。
強引に切ると深爪になり、爪だけでなく肉まで傷つけ、ややもすると血まみれ地獄になってしまう経験、おありでしょう。
この症状は爪の先端や両端が周辺の皮膚に食い込んでいきます。
痛みや腫れが生じたり、傷から膿んでいくこともあります。
巻き爪と見間違いますが、巻き爪のほうは爪が内側に曲がることで、爪の下の皮膚を巻き込むような状態となります。
陥入爪とは異なりますが、両者が合併することもあるようです。
2. 原因は何?
陥入爪の主な原因は、まちがった爪切りによる深爪や、合わない靴や圧迫の強い靴下などの着用による爪の圧迫とされています。
それらを含めて一般的な原因には以下のようなものがあるとされています。
- 爪の形状: 爪が特定の形状をしている場合、例えば爪が湾曲している場合や厚い場合、陥入爪が発生するリスクが高まります。
- 爪の切り方: 爪を間違った方法で切ることが陥入爪を引き起こすことがあります。爪を短く切りすぎたり、角ばって切ったりすると、爪が周囲の皮膚に食い込む可能性があります。
- 適切でない靴の選択: 窮屈な靴や先が狭い靴を履くことで、爪が圧迫され、陥入爪が引き起こされる可能性があります。
- 外傷: 爪を強打したり、怪我をしたりすることで、爪が異常な成長を始め、陥入爪が発生することがあります。
- 遺伝的要因: 陥入爪は遺伝的な傾向があるとされており、家族歴によってリスクが高まる場合があります。
- 足の変形: 平足や外反母趾などの足の異常がある場合、足の形状が変化し、陥入爪が引き起こされる可能性があります。
これらの要因が組み合わさることで、陥入爪が発生する可能性が高まります。
特に、爪の形状や切り方、適切な靴の選択などは日頃からの注意が必要です。
3. こんな症状が…
陥入爪を放置すると、次のような症状や合併症が進行する可能性があるようです。
- 炎症と感染: 陥入爪の周囲の皮膚が圧迫されると、炎症が引き起こされる可能性が高まります。炎症が進行すると、感染が発生するリスクも高まります。
感染がひどくなると、膿や化膿、赤み、腫れなどの症状が現れることがあります。 - 慢性化: 陥入爪が慢性化すると、繰り返し炎症や感染が起こりやすくなります。これにより、痛みや不快感が慢性化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
- 膿の蓄積: 感染がひどくなると、膿が爪の下にたまることがあります。これにより、痛みが増し、感染が深部に進行するリスクが高まります。
- 皮膚の変形: 重度の陥入爪が放置されると、爪や周囲の皮膚の変形が生じる可能性があります。そのために爪の形状が変わったり、爪の成長が不規則になったりすることがあります。
- 手術が必要になる可能性: 重度の陥入爪は、自己処置や一般的な治療法では解決しない場合があります。この場合、手術的な処置が必要になることがあります。
手術は、爪の一部または全部を切除することで問題を解決し、再発を防ぐことができます。
陥入爪がひどくなると、痛みや不快感が増し、日常生活に支障をきたす可能性があります。そのため、症状が重症化した場合は、早めに医師や専門家に相談することが重要でしょう。
4. どんな治療法があるの?
筆者は専門医でもないので、(社)日本創傷外科学会の関連記事に頼りましたが、次のような治療法があるそうです。
1) 保存的治療:爪の端と皮膚が接する部分の保護法と、矯正具による爪矯正法
2) 外科的治療(根治手術)
実際はこれらの治療法にはもっと細分化された具体的な治療術がいろいろ示されていましたが、ここでは省略させていただきます。
結構、こじらせたり、重症化すると大変なことになるようです。
ならば、やはり自分の健康ですから日頃からの注意と、ケアが予防のために大事だと痛感しました。
5. 日頃のケアは?
陥入爪への適切なケアには、以下のような方法が含まれています:
- 足浴: 陥入爪を治療するために、温かいお湯に足をつけて爪を柔らかくする足浴を行います。
これにより、爪周囲の皮膚が柔らかくなり、爪の成長方向を調整しやすくなります。
足浴には、約15〜20分間、週に数回行うのが効果的です。 - 爪の切り方: 爪を正しい形に切ることが重要です。爪は直線的に切り、丸みを帯びた形に整えるようにします。
爪の両端を切り過ぎないように注意し、爪が皮膚に埋まらないようにします。 - 爪の保護: 適切な靴を選び、足に圧迫感を与えないようにします。
また、適切な靴を履くことで足の過度な汗を防ぎ、感染を予防する助けにもなります。 - 湿潤療法: 陥入爪の治療として湿潤療法を行います。
毎日、爪周囲に保湿剤や抗生物質クリームを塗布し、爪周囲の皮膚を柔らかくし、炎症を和らげます。 - 医療の助けを求める: 症状が重症化したり、自宅での処置が効果的でない場合は、医師や専門家に相談しましょう。
医師は適切な治療法を提案し、必要に応じて処置を行うことができます。
これらの方法を組み合わせて、陥入爪の症状を軽減し、再発を防ぐことができます。
5. まとめ
「靴下に穴」は外出先で起きると本当にショックですね。
昔、中世のヨーロッパ貴族が宮廷の中で、これが原因でショック死をしたなんて逸話があるくらいです。
また爪切りの最中に血だらけなんてこともザラですが、調べてみると様々な原因やその後のとんでもない悪化につながることが分かりました。
陥入爪の程度がひどい場合、あるいはそれによる何らかの症状がある場合には、専門医を早めに訪ねましょう。
それこそ靴が片足でも履けなくなると、通勤・通学にも支障をきたしますからね。
それと日頃からの観察とケアが大事。
美しい足、丈夫な足、それにお気に入りの靴下、ストッキングを大事にしましょう。
by 参禅寺 源吾