Society #001

1. どうしてやめられないのかねええ!?

道端のおびただしい吸い殻、皆さんは気になりませんか?

それは「落ちている」のではなく、「捨てられている」状態
最近ではこのような光景が街中で増えているように思えます。
飲み屋街でも繁華街でもなく、ビルと住宅が混在した街の通りの、ある範囲に吸い殻が散乱しています。

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このお江戸東京では『ポイ捨て禁止・歩きタバコ禁止』を定める幾つかの区条例があり、その区の巡回監視員のお蔭もあって、以前よりは成果は上がっています。

特にコロナ禍では街のどこもかしこもキレイなものでした。
その後に開催された東京オリンピックも街の美化に寄与したが、どうしたわけか、ここ一、二年で逆戻りのようです。

海外からの観光客が増えて日本は清潔な国だ、街にはゴミ一つない、と世界に喧伝されているけれど、実際はそれほどでもありません。

確かに街中のゴミ箱は今やどこにも置かれていないし、家庭ごみ・粗大ゴミ・空き瓶・空き缶などが散乱している風景は滅多にお目にかかれません。

ゴミ収集ルールの全国的浸透で他の国より清潔さを獲得しましたが、人の目につかない場所でのごみ廃棄は減っていないようです。

全国各地を結ぶ主要幹線道路のセンター部の植え込みには、車中で飲食後のゴミが袋ごと大量に放り込まれている実態があります。

 人里離れた山林への大量の産業廃棄物投棄のニュースもしばしば流れます。
都会では、自販機の周りに空缶だけでなくコンビニ弁当の屑が意図的に捨てられています。

ちょっと脇道にそれました。タバコの話に戻りましょう。

その昔は所かまわず喫煙が当たり前であり、たとえば映画館でも上映中にタバコの煙があちらこちらになびいていたし、街頭での歩きタバコも当たり前でした。

喫煙者はそのまま道端に無意識に吸い殻をポイ捨てしていたのも事実です。
だって憧れの映画スターが戦前戦後を問わず、スクリーンの中でポイポイとタバコを放っていたんです。

ジョン・ウエインだって、ハンフリー・ボガードだって、アラン・ドロンだって、恰好良いセリフを決めながら、タバコポイポイでした。

007のジェームス・ボンドもルパン三世の相棒の次元大介も吸ってはタバコをポイポイのポイ。
日本も負けずに、裕次郎も、健さんも、文太も、勝新もみんなポポイのポイだったのです。

今となってはとんでもないことです。
筆者自らが禁煙してから街中を見渡せば、吸い殻が秋の落ち葉のように一面に散らかっている光景が目に入ります。

さすがにこの風景には慄然とします。
自分もどれだけ歩きタバコをし、道端に無造作にポイ捨てし、街を汚していたか、自分の所業に深く反省せざるを得ません。

近年、世の中の流れが急速に変わってきました。
世界が喫煙に対し批判的・否定的になっています。

健康問題、受動喫煙の健康被害、公共マナーの向上、環境美化などなど幾つもの要因が禁煙気運に拍車を掛け、それが常識になりました。

欧米では肥満と喫煙は出世を妨げるなどとキャンペーン化し、それが日本にも押し寄せ、その影響も少なからず作用し、成人の喫煙人口が徐々に減少していきました。

上記の二つのグラフでも分かるとおり、世界主要国のみならず日本においても顕著に喫煙人口は減少しています。
これはまるで今の〇〇政権の支持率か、某国営放送の大河ドラマの視聴率のようではありませんか!

もはや喫煙者は格好良いファッショナブルな大人ではなく、男女を問わずマイノリティの存在なのです。
それゆえ公共性を帯びた喫煙場所は都会においてそうそう簡単に見当たりません。

それだけではありません。

オフィスからも自宅からも喫煙者は無慈悲に追放され、 逃げ惑う少数民族や紛争難民のようなありさまで街中をさまよっています。

と言って、ここで喫煙者を擁護するつもりは全く無く、また禁煙を絶対正義とするわけでもありません。
筆者自身が禁煙家となって享受するメリットは、公私にわたり多大なものがあると感じています。

加えて喫煙者の行動で絶対に許せないことがあります。

公徳心の欠如と美意識の喪失です。(おまえが言うか?)

いやいや、考えてもみてくださいな。
皆さんの自宅前にゴミが捨てられ、ポイ捨てタバコが大量に散乱していたらそれをへらへらと笑って許せますか?

ポイ捨てとはそのような許せざる行為なのです。

 

ところがここに新種の陰性喫煙種族が生まれているのを発見しました。
この新・陰性喫煙種族は「歩きタバコ」と「公道でのポイ捨て」に対し若干の罪の意識を有しているのが特徴です。

 この種族はまるでドブネズミのごとく街の路地に集結するのを顕著な行動特性としています。
なにしろ路地に知らぬ間に三々五々集まってくるのです。
家々が建て込み、壁や塀が連なり、その家や事務所からは全く人影が見えない路地にたむろする習性を持っています。

多くの場合、幅1メートル以下の路地は私有地の比率が高いですね。

にもかかわらず、そこに侵入し挨拶もなく無言でたむろし、 同朋種族としての柔らかい一体性と、うたかたの安心・安全感情に身を委ね、一心に無我の境地でネズミ共が喫煙に耽るのです。

うつむき加減に背中を丸め、日陰暗がりに身を隠し、人の気配でびくっとする。
まるで野ネズミかドブネズミに変身している自身の姿が分からないのでしょうか?

有料駐車場のケースもあります。駐車している振りを装うカムフラージュ方式です。
路地であれ、駐車場であれ、問題はその宴の後の光景です。

そこらじゅうにポイ捨ての吸い殻が散乱しているではありませんか。

彼らはてめえの始末をしない。いわんや掃除もしない。
ネズミの糞のごとくに吸い殻を獣のマーキングのごとくに撒き散らし消えていく。

仕事や現場に戻れば偉そうに3S(整理・整頓・清潔)、4S(整理・整頓・清潔・清掃)だと口にしながら、こんな些細な後始末もできないのだ!!

果てはわざとそうして鬱憤を晴らすネズミ族も存在します。

結局、地元住民が後始末をするはめになります。
そして翌日、まるで彼らのためにキレイに整備された「喫煙場」に再び紫煙が揺らめき、吸い殻が捨てられます。

地元住民の恩義に対して当然のごとく礼も感謝も無し、いわんやプライドも品性のかけらもない。
だから人間ではなく、喫煙ネズミと名付けざるを得ません。

それでは、と『喫煙禁止!ポイ捨て禁止!!』の看板をやたら壁に貼ってもその効果はありません!
街中が禁止の看板だらけで、美観もくそもありゃせんのですよ。

取り締まればいいじゃないの!とあなたは思うでしょう?
でも頼りの警察は不介入です。

ポイ捨てタバコで火事を起こせば最悪、放火罪か過失失火だろうけど、喫煙自体は罪ではないし、路地が私有地であれば民事不介入。

それに警察権の行使にこの仕事は入っていません。

またタバコの吸い殻廃棄は産業廃棄物違反でもありません。
その地域全体が『ポイ捨て禁止』の条例を掲げても、これは秩序罰であり、重くても「過料」と言う罰金刑で一件落着です。

個人のマナー意識、社会的道徳心、モラール、他人や環境に対する深い理解に頼るしかないのです。
無理と分かっていても!

喫煙時代の自分はなんと愚かな加害者であったか。
今さら現代の喫煙ネズミに文句を言えた義理ではないものの、喫煙ネズミ自身が通る道、通勤の道、オフィス近隣の路地などなぜきれいに出来ないのでしょうか

自分の家の前、家の周り、マンションやアパートの敷地やその周りが汚くても彼らは本当に気にならないのでしょうか?

ただただ毎日祈るだけです。
皆が思いやりのある優しい心を持つことを。

そして家の前や花壇に捨てられている吸い殻を今日も拾い集めます。

2. 秩序罰と軽犯罪法

ここに二つの法律があります。

その一つである「秩序罰」とは、行政上の義務違反を指します。

社会的法益を直接的に侵害するが、国民生活に悪影響を及ぼさない軽い違反行為 (通知義務違反など)に対しての制裁のことをいいます。

法律上では「行政罰」に「行政刑罰」と共に組み込まれます。

例えば、引越し後に住民票の変更届をせず一定期間過ぎると、住民基本台帳法違反で5万円以下の過料を科されます。

タバコのポイ捨てに関しては、これは路上喫煙禁止条例違反行為で、路上喫煙禁止区域内で喫煙し、又は吸い殻を捨てた者は、2,000円以下の過料に処されます。

千代田区では、区内全域を路上喫煙禁止区域として、路上喫煙者を見つけ次第、その場で2,000円の過料を徴収します。

徴収されて区役所に怒鳴り込むネズミもいるみたい。馬鹿か?

他方の軽犯罪法はどうでしょうか?
他人の敷地内でのタバコのポイ捨てについては、この軽犯罪法が適用されます。
即ち同法第1条27号に違反する可能性があり得ます。

違反者は拘留か科料(前出の「過料」とは違います)に処されます。
拘留は1日以上30日未満。科料は、1,000円以上1万円未満です。

こうなるとあなたは刑法上の罪人として、人生を失います。
あ、ネズミだから問題ないか?

それでもせっせせっせとタバコを吸うわけです。
人間の知性と理性をたっぷり有していてもあなたは止められない。

だから喫煙ネズミになったと言うのでしょうか?

なにしろタバコのポイ捨ては止めましょう!できればこの際禁煙

*(株)フォーサイト様「行政書士通信講座案内」より一部記事引用編集しました。 
https://www.foresight.jp/gyosei/column/administrative-punishment/

By 参禅寺 源吾


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