災害避難所の床に横たわる日本の盲点

能登半島大震災が突きつけた「段ボールベッド未整備」
という行政の構造的怠慢 社会科見学会 #002
世の中のどうにも合点が行かないありきたりの
問題・課題をいささか怒りに燃えつつ見に行こうと言う
社会科見学会の第2回は、災害避難所の実態です。
目 次
1. なぜまだ「床に雑魚寝」なのか?
元旦の夕刻、能登半島を襲った大地震と津波。
家族団らんの最中に突如テレビ画面に映し出された惨状に、日本中が凍りつきました。
東日本大震災から13年。
能登地方では2007年、2022年、2023年と群発地震が続いていました。
活断層の存在も知られていました。
さまざまな災害リスクは周知の事実だったはずです。
それなのに──被災地であるある避難所の体育館では、被災者がフローリング床に薄いシート一枚で横たわっている。
高齢者も乳児も、泥だらけの衣服のまま、冷たい床に身を預けている。
これが敗戦から80年後の、令和の避難所の現実です。
コロナ禍の教訓はどこへ? 感染症対策は? 低体温症の危険は?
怒りと失望が込み上げます。

気象庁より引用転載させていただきました。
2. 床に潜む三重のリスク
避難所の床には、見えない危険が潜んでいます。
1) 感染症リスク
- 災害地では微粒子のチリや埃が空中を舞う
- 体育館の床は摩擦が少なく、ウイルスが長く生存する環境
- 雑魚寝によって飛沫が鼻や口に直接届く危険性
2) 低体温症
- 冬の体育館の床は冷え切っている
- 体温が35℃を下回ると生命維持が困難に
- 特に高齢者や乳児は命の危険にさらされる
3) 睡眠障害・エコノミークラス症候群
- 硬い床では深い睡眠が取れず、心身の回復が妨げられる
- 長時間同じ姿勢で横たわることで血栓リスクも
これらは「災害関連死」の温床以外の何物でもありません。
避難所の環境次第で、大切な命が失われるのです。
3. 段ボールベッドという解決策
東京オリンピックで話題となった段ボールベッド。
床から約30cmの高さがあり、感染症や低体温症のリスクを大幅に軽減できるのです。
しかし、全国1794自治体のうち、備蓄しているのはなんとわずか51。
能登の被災地にどれだけ届いたのか──それすら不明です。
過去には、段ボールベッドメーカーが現状を見かねて無償提供を申し出たにもかかわらず、その自治体担当者が「前例がない」「担当部署がない」と冷たく断った事例も。
国民、市民の命よりも“前例”を優先する行政の自己中心的無能体質が、今も変わっていないのではないでしょうか。
これは役人特有の、認知の歪み、即ち認知バイアスの化物=バイアス・モンスターの完全体に違いありません。
IQが高くても、EQは全くのゼロ状態の無能集団?です。
4. 提案:段ボールベッド整備のための五手
そこで、以下に述べるような5つの提案をしたい!
提案①:全国自治体への備蓄義務化及び法制化
- 段ボールベッドを災害備蓄品として法的に位置づける
- 人口規模に応じた最低備蓄数を定め、国が補助金を交付
命を守る装備は「任意」ではなく「義務」である。
提案②:段ボールベッドの規格統一と製品軽量小型化
- 被災地専用の簡易型ベッドを開発
- 高さを抑え、収納性・断熱性・衛生性を両立
- 飛沫拡散の実験データに基づいた設計を
“段ボール”は素材であって、品質の妥協ではない。
提案③:サプライチェーンの構築と自治体相互救済協定推進
- 地域ごとに段ボールベッドメーカーと協定を結び、災害時の即時供給体制を整備
- 経済産業省が主導し、広域支援ネットワークを構築
災害は待ってくれない。物流も平時からの備えのうち。
提案④:保管・廃棄・再利用の早急なガイドライン策定及び整備
- 湿気・ダニ対策を含む保管マニュアルを策定
- 使用後はリサイクル可能な素材で環境負荷を軽減
- CO₂排出を抑える廃棄システムを構築
命を守る装備が、環境を壊しては意味がない。
提案⑤:避難所運営マニュアルの改訂と全自治体への交付・周知化
- 「床に寝かせない」原則を明記
- 段ボールベッドの設置手順・運用方法を標準化
- 高齢者・乳児・障がい者への優先配備を義務化
マニュアルは“読むもの”ではなく“守り、実行するもの”である。
早急に電子マニュアル化で全国に配布せよ!
2020年熊本豪雨時 人吉体育館_水谷嘉浩氏撮影画像から引用転載させていただきました。
5. まとめ:教訓を生かす気づきと覚悟はあるのか?
災害は繰り返される。
そしてそのたびに「教訓を生かせなかった」と嘆く。
それはもう、言い訳では済まされない。
段ボールベッドは単なる物資ではない。
それは「命を守る意思」の象徴です。
行政よ、企業よ、マスコミよ、そして私たち国民自身よ
── 次の災害で、床に横たわる人々を見て「またか」と言わぬように。
今こそ、備えよ。整えよ。即、動け。
《こんな記事がありました》
内閣府と民間企業4社との災害応急対策に関する協定の締結
避難所運営ガイドライン - 内閣府防災情報
By 参禅寺 源吾
本ブログ記事は、昨年2024年1月30日にアップした記事をブログ全面改装に伴い、再編集しました。